任意整理と特定調停の比較

悩む

「任意整理」も「特定調停」も、「債務整理」の1つの方法です。

 

■減額の効果
「任意整理」:法定利息の引き直し 減額後の利息はゼロになるのが普通です。
「特定調停」:法定利息の引き直し 減額後の利息はゼロになるのが普通です。

 

どちらも法定利息で計算し直し、収め過ぎの利息を元金に組み入れることで計算し直し、借金を減らします。一般に利息が大きく、借りていた期間が長ければ長いほど、減額されるお金は大きくなります。

 

債務整理後の利息(将来利息)は、カットされます。
債権の減額があまりなかった場合でも、これから先の返済についての利息はなくなりますので、返済がしやすくなります。

 

一番大きな違いは手続きの方法?じっくり比較検討しよう

■返済方法
「任意整理」:3〜5年の分割払いが基本です。
「特定調停」: 3〜5年の分割払いが基本です。

 

■手続きの方法
「任意整理」:裁判者を介さず、貸金業者との任意の話し合いによる
「特定調停」:裁判所に申し立てる

 

「任意整理」は裁判所を通さない任意の交渉なので、裁判所から通知が届くこともありません。「任意整理」を弁護士や司法書士に依頼すると、交渉はすべて行ってくれます。
弁護士や司法書士に依頼した場合でも、あくまで貸金業者との話し合いによるものなので、訴訟にでもならない限り、裁判所は介入しません。弁護士や司法書士との連絡も、携帯で取ることができます。

 

「特定調停」も、裁判所からの書類や通知が、本人宛て以外の家族に届くことはありません。
ですので、どちらも家族に知られることなく、債務整理することは可能です。
ただし、「特定調停」は裁判所の手続きによる方法ですので、本人宛ての通知や書類は自宅に届きます。また、決められた日時に何回か裁判所に出頭するが必要になります。

 

「任意整理」については、弁護士や司法書士を代理人として立てることにより、直接債務者本人に対して、貸金業者(債権者)からの請求はなくなくります。
「特定調停」については、申立てを行った時点で、取立てが規制されます。
「任意整理」「特定調停」どちらについても、取り立てはストップするようになります。

 

「特定調停」によって作成された「調停証書」には強制力があります。もし、調停で合意した内容通りに返済ができなくなると、債権者は改めて訴訟を提起しなくても、債権者はただちに給与差押などの強制執行手続きをすることができます。もし連帯保証人との連名による合意なら、連帯保証人にもそのまま影響が及びます。

 

  任意整理 特定調停
請求できる債務 請求する債権者を自由に選べる 請求する債権者を自由に選べる
財産に及ぼす影響 なし なし
債務を作るに至った用途 問われない 問われない
債務整理する人の条件 問われない 返済を続けていくことが前提、基本的には継続して一定の収入のある人
職業上の資格制限 なし なし
官報への掲載 なし なし

 

どちらも信用情報に記録される

ブラックリスト

「任意整理」にしても「特定調停」にしても行えば、信用機関の情報、いわゆるブラックリストに記録され、7〜10年経たなければ抹消されないのは同じです。
その間、クレジットカードなどを起こせなくなったりする場合もあります。少なくとも請求した会社との取引は、断れるケースが多いと言えます。
しかし、信用機関のブラックリストに載るというのは、何か法律上の制限があるわではありません。あくまでも貸す側の判断材料にしか過ぎません。
ですので、請求した会社以外の中小の信販・クレジット会社では、普通に貸し付けてくれることも多いと言えます。

 

連帯保証人への影響はどちらもある

 

どんな債務整理だろうと、債務に連帯保証人がついている場合の「債務整理」は、連帯保証人に影響を及ぼすことになります。

 

しかし、「任意整理」と「特定調停」については、連帯保証人と連名による債務整理も可能です。連名で行うことにより、連帯保証人が請求されることはなくなります。
債務整理の後、合意内容通りの返済を債務者本人がきちんと行ってさえいけば、保証人に影響を与えるような問題はありません。

 

ただし、保証人も「任意整理」あるいは「特定調停」を行ったことになり、信用情報機関によるブラックリストに載ることだけは免れないと言えます。

 

特定調停とは?メリットデメリット

 

「特定調停」は、「債務整理」の方法の1つのです。
「債務整理」の方法には、「特定調停」の他にも「任意整理」「個人再生」「自己破産」があります。

 

「任意整理」が、裁判所を介さず、任意に貸金業者に対し減額に関する請求・話し合い行うものであるのに対し、「特定調停」は、裁判所を通して行うものです。

 

「特定調停」のメリットには、次のようなものがあります

 

  • 裁判所が間に入るので、債務者本人が債権者と交渉をする必要はありません。手続き的にそれほど難しくないので、素人でもできます。
  • 「任意整理」を弁護士や司法書士に依頼するときの費用に比べて、圧倒的に安い金額(1社あたり500円)で行うことができます。専門家に依頼する費用がない人でも利用することができます。
  • 「特定調停」の申立てが裁判所に受理されたという受付票・受理証明書を債権者に送付することにより、債権者からの取立ては止まります。
  • 支払い過ぎていた利息分を元金に組み入れて計算することによる減額を期待できるほか、将来利息はカットされます。
  • 自分の持つ債務の中で、減額について話合いたいと思う債権者を自由に選んで行うことができます。
  • 借金の使い途を問われることなく、行うことができます。ギャンブルや浪費が原因の借金の場合でも利用できます。しかし、返済をしていくことが前提ですので、収入のある人、収入のあてのある人であることが基本になっています。
  • 「特定調停」によって、資格制限されるようなことはありません。また、官報に掲載されることもありません。

 

「特定調停」のデメリットには、次のようなものがあります

  • 「特定調停」を申立てをしても、裁判所から家族に直接連絡がいくことはありませんが、あくまで裁判所を通して行うものなので、裁判所から本人宛てに書類や通知が行きます。決められた期日・時間に、裁判所に何回か足を運ぶ必要もあります。
  • 調停が成立すると判決と同じ効力があるので、調停成立後に支払いが遅れると差し押さえをうける可能性があります。
  • ・5〜7年程度、信用情報機関のブラックリストに載ってしまいます。ブラックリストは法的ものではありませんし、貸金業者たちが貸し付けの際の判断材料にするだけのものですが、記載が抹消されるまでの間、新規にカード俄起こすことができなくなったり、それまで受けられていた貸し付けを受けられなくなったりすることがあります。「特定調停」の相手となった貸金業者からは、以後取引を断れるケースは多くあります。
  • 減額後、借金がゼロになり、戻してもらえるお金(過払金)が出る場合もありますが、裁判所の目的は借金の返済しやすくするためのものですから、債務がなくなった場合の過払い金の請求まではしません。その場合は、別途弁護士や司法書士に依頼して過払い請求を行うようになります。
  • 債権者は債務者本人と、連帯保証人のどちらにもいつでも請求できることになっています。ですので、保証人がついている債務について「任意整理」すれば、基本的に保証人が請求される」ことになります。
  • これについては、保証人を「関係債務者」と記入することによって、連名で行うにより、連帯保証人に請求が行くこともなくなります。その結果債権者と話合いがつき、本人が和解内容通りの返済をしていけば、問題はありません。ただし、保証人もブラックリストに記載されてしまうことは免れません。

 

保証人がブラックリストに記載されてしまうことを避けたいと思ったら、連帯保証人のいる債務を除いて、「特定調停」を行うことになります。

 

特定調停の手続きの流れ

流れ

「特定調停」は、簡易裁判所を利用して債務を減らしていこうとする手続きです。
基本的には任意整理と同じですが、任意整理が、当事者間による任意の話し合いによるものであるのに対し、特定調停は、裁判所に入ってもらって、話し合いをすることになります。

 

支払不能には至っていないが、このままだといずれ行き詰ってしまうといった状況にある債務者の経済的再生を図る目的で、平成12年2月から施行された新しい制度です。
調停成立後の返済は、任意整理と同様に利息制限法で引き直しをした後の債務を3年以内に分割返済することになります。

「特定調停」の手続きと流れは、次のようになります

@簡易裁判所へ「特定調停」の申し立てをします。
申立書の作成に取り掛かります。公的機関が発行する証明書以外のものは、A4サイズでコピーを取り、提出します。申立先は、調停の相手方、つまり貸金業者の営業所の所在地を管轄する簡易裁判所になります。

 

申し立ての際は、収入印紙(裁判所への申し立て費用)と、切手(債権者への通知に使用する)が必要になります。

 

申し立ての際は、裁判所に申立書一式を収入印紙と切手と一緒に提出することになります。
相手の所在地の管轄簡易裁判所が遠い場合は、郵送で送ることも出来ます。
記入ミスや送り忘れがないか、送り先の裁判所に1度電話で確認しておくといいでしょう。

 

裁判所に申し立てが受理されると、その通知が債権者に届きます。
この時点で、債権者からの取り立てはなくなります。
      ↓
A簡易裁判所が有識者からなる調停委員を指定します。
      ↓
B調停の成立に向けて、当事者間で協議が行われます。
申立後、1ヶ月位で、裁判所から呼出状が届きます。
第1回調停期日の際は、申立人と調停委員との面接になります。相手方の貸金業者は来ません。
申立人の収入状況や負債状況の確認、これからの返済予定などについて質問されることになります。

 

第2回以降の調停期日には、相手方である貸金業者も出席することになります。
第1回目の調停期日で整理された事項をもとに、話合いがされることになります。

 

この時の話し合いで、お互いの意見がまとまれば「調停成立」となりますが、まとまらなければ次回の調停期日が設けられ、話し合いが続くことになります。
     ↓
C調停が成立すると、裁判所によって、調停調書が作成されます。
裁判所を通した手続きによる、この調停調書には、強制力があります。申立人(債務者)は、何が何でも決定した調停調書に従った返済をしていかなくてはなりません。返済が滞ることがあれば、裁判を待たずして、債権者は給与や財産を差し押さえることができます。
     ↓
D返済がスタートします。

時間が自由になる人なら任意整理より費用がかからないという点が大きなメリット

「特定調停」は、裁判所が入ることで、郵送されてくる書類を受け取ったり、申立用の書類を自分で用意したり、出頭の暇を惜しむ必要がない場合には、適した債務整理の方法になります。

 

手続きも時間のそこそこある人なら、それほど難しいものではありませんし、費用の点でも、「任意整理」を弁護士や司法書士に依頼して行うよりも、うんと安く済みます。
逆に、決まった日にちを空けたりすることの難しい、時間のまったくない人の場合は、向きません。

 

裁判所の認めた調停調書に強制力があり、任意整理の際の和解契約よりも重いものがあります。

 

特定調停後も過払い請求は出来るの?

疑問

特定調停による借金の減額の結果、借金がゼロになるだけではなく、戻してもらえるお金(過払金)が出る場合もあります。

 

もちろんこの場合、過払い請求はできます。
しかし、この場合の過払い請求は、「特定調停」の後、別個に行わなくてはなりません。

 

裁判所の目的は借金の返済しやすくするためのものです。債務がなくなった場合の過払い金の請求まで、裁判所は行ってくれません。
その場合は、別途弁護士や司法書士に依頼して過払い請求を行うようになります。

 

「特定調停」によって、「債務なし」もしくは「債務を免除する」という調停がまとまっている場合は、過払い請求は、比較的容易に行うことができます。

 

しかし、「債権・債務なし」と書かれてしまっていると、あなたが貸金業者に過払い金(債権)を持たないということになってしまいます。
そうすると、後日過払いの返還を求めることは困難になってしまいます。

 

特定調停をきっかけに不当な扱いをされないための知識

ただし、特定調停は基本的に「債務整理」を目的にして行われ、過払いがいくらあるのまで、きちんと調べるものではありません。

 

調停委員が、利息制限法での引き直し計算を行わず、過払いが発生している場合でも、「債権債務なし」の調停を成立させてしまうことを、信じられないものとして、批判している人たちも多くいます。
何も知らない人は、何も知らずに調停委員に不当な扱いを受けても疑問も抱かずに「特定調停」を終える怖い結果になります。

 

ですので、仮に「債権・債務なし」と「特定調停」で決定していても、本当に過払い金が発生している場合には、過払い請求することは可能です。

 

実際に、「特定調停」で、「債権・債務なし」とされた決定について、貸金業者が調停委員からの請求に応じずに、取引履歴を開示しないので、原告(債務者)が過払い金が発生していることを知らなかった場合、特定調停が「債権・債務なし」としたのは、錯誤(要素の錯誤)によるもので、特定調停の決定は無効であるとした判決も出ています。(和歌山地裁平成18.05.25)

 

調停で、「債権なし」としたのは、無効であるとするものです。

 

過払い金が発生しているかどうかは、まずは、貸金業者の支店に電話をかけて、個人情報保護法に基づき、取引履歴の開示を請求し、取得することから始めることになります。
大手消費者金融であれば、ほとんどの場合、開示が受けられます。開示しない場合は罰則規定もあります。

 

ただ、取引履歴を廃棄している会社もあります。その場合全開示を得る事は困難です。
過払い請求に力を入れている事務所に相談してみるようにしましょう。

 

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